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Cくんの勉強机はちゃぶ台

2020年3月25日「水曜日」更新の日記

2020-03-25の日記のIMAGE
そのリビングの隣には、続きの間になっている和室があります。広さは6畳。障子戸を引くと庭が見えます。隅に小さなたんすが置かれ、部屋のまんなかに昔ながらの丸いちゃぶ台が鎮座しています。このちゃぶ台が、Cくんにとって、最高の勉強場所だというのです。「このちゃぶ台の前だと、最高に集中して勉強できるんだよね、なぜか」しかも、Cくんは、ただ、このちゃぶ台の前に座って勉強しているわけではないとのこと。なんとその日の気分によって、座る位置をくるくる変えてみるそうです。「ほら、ちゃぶ台ってまん丸だから、どこにでも座れるでしょ。こっちに座れば、窓の外が見えるし、こっちに座れば、リビングが見える。ちょっと角度を変えれば、リビングの奥のテレビも見える。場所によって、見る景色が変わるから、気分転換できるんだ」たしかに丸いちゃぶ台はどこにでも座れます。だから、いつも自分が座ったところが一番の特等席なんです。それだけじゃありません。このちゃぶ台は、リビングの隣ですから、いつも家族の誰かが近くにいます。休みの日などは、Cくんが受験勉強しているその隣に、お父さんがあぐらをかいてお茶を置いて新聞を読んでいたりします。 悲しいことだが、わたしは、ほとんど使い捨てのように扱われている。それでも、少しでも多くの人に節約の楽しさやよさを知ってもらえればと思い、どんな小さな仕事の依頼でも受けることにした。テレビに出ればたくさんギャラがもらえると思っている人がいるかもしれないが、わたしの場合、ほんのたまにテレビに出る程度だし、出演料はあまりいいものではない。このままでは前年度の収入を下回る可能性が高いほどだ。しかも仕事は不定期に突然入るので、計画を立てにくい。当然、コンビニに勤めていたころよりも、もっときびしい節約生活を強いられることになった。日々、食べていくだけで精いっぱい。明日、仕事が入る保証もない。中途半端な立場だ。「このままでは、住宅ローンも難しくなってしまう」それではいけないと思い、ある計画を立ててみた。それは1カ月1万円で生活するという計画。もちろん、公共料金も食費もすべて入れての数字だった。しかし、これはあまりにも無謀すぎた。なぜなら、公共料金の基本料金などで、1万円近くになってしまうから。そこで、公共料金を1万円、その他の生活費を1万5000円として計2万5000円でやり繰りすることにしてみた。生活費の1カ月1万5000円は、食費が1週間に2000円ずつの1万円、日用雑貨代500円、本代500円、おこづかい4000円という内訳になっている。新聞もテレビのニュースを見ればいいと、やめてしまった。これは何とかやっていける数字で、今のところ順調に2万5000円の生活をしている。それに、1カ月2万5000円といっても、たいしてきびしいとは感じていない。苦しいというよりは、十分楽しんでいる。「何より、お気に入りのマンションがある」これが大きな心の支えだからだ。 物件は、わたしの一目惚れだった。モデルルームに置いてある家具のセンスもよかったこともあって、余計気に入ったのかもしれない。まず入り口を入ると、広々とした玄関と廊下があり、廊下の両側と突き当たりには、ドアがいくつかある。廊下の先のドアを開けると、28畳ほどあるだろうか、リビング・ダイニングと、それに続くキッチンのスペースが広がっている。4昼くらいのキッチンは対面式になっていて、料理をしながらリビングのほうを見渡せる。この広さなら、大きな冷蔵庫を十分入れることができるし、大きな食器棚も置くことができる。ガスコンロも3つあった。「これならパスタ作りも楽々だ」そう思った。今までのアパートでは、1つしかないコンロで、ある程度お湯を沸騰させて、一旦鍋を火から下ろし、別の鍋でソースを作って、またパスタをゆでて早めに火から下ろし、冷めたソースを温め直して......と、とにかくたいへんだった。これなら、片方のコンロでお湯を沸かしながらパスタをゆで、もう片方のコンロでソース作りができる。それでも、もう一つコンロが余っているので、同時にスープを作ってもいい。そして、広々としたリビング・ダイニングには光がさんさんと入り、床暖房まで完備されている。床もナチュラルなフローリングで気に入った。窓を開けると、これまた広いベランダ。洗濯物もたくさん干せそうだし、心ゆくまでべランダ菜園を楽しめそうだ。4人用のガーデンテーブルやチェアを置いても、スペースはまだたっぷりある。 ちょうど8月のはじめ、その日はとても暑い日だった。ところが、その住宅に入った途端、ひんやりと涼しく心地いい。「冷蔵庫みたい」入った瞬間、そう感じた。「電気代かかりそう......」つい、そう口を滑らせてしまった。そのモデルルームには、30代半ばの男性販売員がいた。「この住宅は魔法びんのような構造で、一度冷やしたり暖めたりすると、その冷たさや暖かさが逃げないようになっているんですよ」彼は、わたしの言葉を無視することなく、初心者のわたしでもわかるように、その住宅の工法などを一生懸命に話してくれた。今までほとんど相手にしてもらえなかっただけにうれしく、わたしは、ますますその家に興味が湧いてきた。家中を見てみると、すべてが木でできていて、木目が素敵だった。「森の中にいるみたい」本当にそう思った。こんなに住みやすそうで素敵な家だったら、きっと幸せな生活ができるに違いない。今はシングルだけど、まだ見ぬ家族の笑顔が浮かんでくる。そんなことを想像しているだけで、何だかとても幸せな気持ちになった。「おいくらくらいですか?」と軽い気持ちで聞いてみた。「そうですね......」彼が教えてくれたのは、建物だけの価格で5000万円近い金額だった。土地を入れるとそれ以上ってことか......。やはり自分の来るべきところではなかったような気がして、寂しくなった。住宅展示場からの帰り道も、さっき見た家が頭から離れない。「わたしにはそんな大金、無理だ」正直あきらめようと思ったが、心底気に入ってしまっていた。それ以来、来る日も来る日も、あの魔法びんのような家を忘れることができない。そして、「家を買う」という一生で1回あるかないかの大切なイベントに、あの丁寧に説明してくれた営業の人とだったら、きっといい家が作れそうな気がした。「どうしても、絶対にこの家がいい!」この思いから離れられなかった。かといって、お金があるわけではない。貯金は、相変わらずゼロのまま。でも、思い込みが激しいわたしは、思い込んだら一直線に突き進んでしまう。 高橋さんは、将来の人生設計は、山縣さんのように四〇代から計画する必要があるといいきっている。たとえば、家族とどういう家庭を築いていくか、とりわけ互いの老親にどう対処していくべきか、子供とはどういう関係でいたいかを踏まえておく必要があると強調している。四〇代は、タテマエでは七~八割は親と住んでもいいと思っているが、現実は両親を自分の手で世話したいと考えている人は二~三割。あとの七~八割は、老人ホームか病院で面倒をみてもらうことになるだろうと、ホンネの部分も見え隠れする。だからこそ、誰と住むか、どこに住むか、老後をどう生きるか、仕事以外に自分の生きがいを考えたり、仕事を辞めたあとやりたいことなど、定年後の青写真を十分検討した人生設計を育てることが望ましい。人生設計のない老後に幸せは来ない。いま、呼び寄せ老人"という言葉があるが、五〇代ごろから遠く離れている郷里の老親をどうするかが重くのしかかってくる人も多いからこそ、両親の老後も踏まえた人方生設計を急がなければいけない。失敗している人の多くは、定年退職後に、老後の人生設計をたてている。定年後では遅すぎると断言してもいい。とくに、経済的な面を考えると、四〇代、遅くとも五〇代がギリギリといっても過言ではない。[四〇代はまだ人生の半分だから、と思っている人がまだまだ多数で、七割はいる。そして、五〇代でも、まだ定年まで一〇年、平均寿命まで二〇?三〇年はあると、たかをくくっている人たちが多いのは気になるところだ。住まいづくり、リフォームは、五〇代が最後の機会だと、私の経験からも繰り返し忠告しておきたい。 駅から二分、ちょっと立ち寄っていこうという友人、仲間が次第に有馬さんの家に集まりはじめた。奥さんも息子さんもいないから、誰に気兼ねもなく、有馬さんの手づくり料理で一杯飲んで語りあう男同士の交流が多くなった。いまはもう、奥さんの味にひけをとらないまでに腕を上げた有馬さん。半年間の妻のI看病でおぼえたものだ。しかし、有馬さんはいう。「女房の世話をしたと思っていたが、女房が生命の短さを悟り、僕に,生活の知恵』を教えていったような気がします。ちょっと塩っ気が足りない、みそを入れるとこくとてりが出ますからとか、夫の僕がひとり暮らしに困らないようにと思って教えてくれたんですょ」涙の出るような、いい話である。有馬さんは亡妻の思いやりをしっかりと受けとめ、いまは手抜きをしないで料理に精を出している。おまけに、本来、美味求真派。舌で覚えた味をつくってみようという好奇心がもりもりとわき、外食のときはなるべくカウンターに座り、目と舌で技とコツを盗みとる。それを自宅で再現するわけだ。そのために、台所と食堂を別にし、友だちと共に飲み、食べられるよう、LD(居間・食堂)が広くなるように改造した。台所で立ち働くところはあまり見られたくないので、アコーディオンカーテンで仕切ってある。また、LDは交流の場と同時に、仕事の打ちあわせの場にもなるようにし、台所の奥にベッドと机、キャビネットを置き、ここをプライベート空間と仕事場にしている。つまり、ホームオフィスだ。だから本箱も書類入れのキャビネットもここにあり、この部屋と台所が隔離してあるところが興味深い。つまり、男の台所と居室の美学がここに実現されている。「私の父も台所に立つ姿を人に見られるのを好まなかったが、男はそんな美学をもっているのかもしれない。 ●ヒント12快楽
―満足感、幸福感のある生活をするために機能性、安全性、使いよさは住まいの基本であるが、その結果、心が充足しなければなんにもならない。定年後の自由な時をいかに楽しく過ごすかを考えて、住まいの快適性、快楽の要素には力をいれたほうがいい。なかでも、自分にとって居心地のよい場所をもつことは大切だ。そしてそこは、空気清浄機、空調換気扇などでクリーンな空間にしたい。
●ヒント13
床暖房――自然なあたたかさのある暮らしをするために心地よさを間接的に、自然に味わうことが高齢に向かう住まいにおいては大切な要素である。夏のエアコン、冬の床暖房は五〇代からの住宅設備の重要なポイントとして考慮しておく必要がある。ランニングコストを心配する人もいるが、家中これにすれば(家の広さ、使用頻度、設置スペースにより異なるが)月額約二万~三万円ほど必要なので、通常、部分部分(部屋ごと)で入・切、できるようになっている。したがって使用頻度の高い部屋に組みこんだり、生活に合わせた使用方法を考えることが必要。そうすれば経済的で、やはり勧めたい設備のひとつだ。

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