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倒産諸手続における担保権消滅請求制度の比較。

2018年9月21日「金曜日」更新の日記

2018-09-21の日記のIMAGE
一連の倒産法制の整備を通じて,担保権消滅請求制度は民事再生・会社更生・破産の三手続すべてに装備されることになったが,その性格および手続の実際には重要な相違がある。(a)民事再生手続。担保権消滅請求制度はまず民事再生手続において最初に導入された(民再148条)。しかしそこでの対象不動産は「再生債務者の事業の継統に欠くことのできないもの」に限定され,例えば遊休資産を売却して事業再生のための運転資金を得るための任意売却の前提として用いることはできない。民事再生手続においては,財産管理機関は,再生債務者本人であり、この者が同条2項2号の「申出額」を決定して同条1項の申立てを行う。これに対して,抵当権者に。は申出額に対する異議を申し立て,「価額決定の請求」をするという対抗手段が認められている(民再149条)。価額決定に際しては,民事執行法上の抵当権実行におけるような競売減価をしない額が基準とされる。(b)会社更生手続。会社更生法も平成14年改正によって担保権消滅請求制度を装備した。民事再生手続とは異なり,担保権は更生担保権として手続に取り込まれているにもかかわらず,更生計画の外で抵当不動産を任意売却する必要はあり,やはり更生担保権者の個別同意に拘束されない抵当権の機動的処理のためにこの制度が導入された。対象不動産の譲渡は,「事業の更生のために必要である」と裁判所が認める場合を広くカヴァーし(会更104条),遊休資産や,更生計画外での営業譲渡(会更46条)に含まれる不動産を含む点で,民事再生手続よりも適用範囲が拡げられている。抵当権者には民事再生手続と同じ「価額決定の請求」による対抗手段(会更105条)が与えられている。この価額の評価の基準に関しても競売減価はなされないこととされているが,それは「早期の処分可能性を考慮した適正な処分価格」であって,財産評定価額たる時価(会更83条2項)とは乖離する。(C)破産手続。新破産法も別除権に対する担保権消滅請求を,「当該財産を任意に売却して当該担保権を消滅させることが破産債権者の一般の利益に適合するとき」に限って認めた(破186条1項)。担保権消滅のために納付すべき金銭額は,任意売却による「売得金」から「組入金」を控除したものが基準となる(同項1号)。

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