歴史が決める

: 断熱性能なども、低いよりは高いほうがよいに決まっています。しかし、これさえ程度の問題です。北海道で必要な断熱性能を九州地方でそのまま求めれば、多くの場合は過剰な性能となり、必要以上に価格が高くなってしまいます。価格まで含めて考えれば、これは良い住宅ではありません。個人差だけではなく、地域差も良い住宅を分ける要素となります。日本ではあまり意識されませんが、実は時間差も良い住宅の判断を分ける要素となります。明治時代に良い住宅も、平成の時代に良い住宅であるとはいえません。だんだんと、皆が良い住宅を見つけるのは困難になってきます。しかし、住宅も取引を前提とすると、価値を決めなければなりません。繰返しになりますが、それは皆が認める「良い住宅」の判断基準がなければ決められません。さて、これを決めるのは実は市場です。つまり、良い住宅が何かを決めるのは、市場での集合的な判断です。一人ひとりが勝手に決めた結果が積み重なって、全体としてどんな評価項目が有用かを決めることになります。ひと昔前であれば、こういう決め方を「歴史が決める」といったでしょう。