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工務店・ビルダー全体の底上げのために

2018年5月30日「水曜日」更新の日記

2018-05-30の日記のIMAGE
 今までの工務店・ビルダーの問題点としてまず真っ先に挙げられるべきものが、「旧態依然とした体質」でした。  ほとんどの工務店・ビルダーが用いてきた木造軸組工法は、人間の住まいとして理想的な素材である木を活かし、自由度の高い設計が可能な、日本の気候風土に適した家づくりの工法です。しかし、実践のなかで養われる勘や経験に頼ってきた旧来の工法のままでは、現代の住宅に要求される高い性能を満たせないという懸念があったうえに、高度経済成長期に顕著に見られた「雨露をしのげればいい」という供給風潮によって、受け継がれてきた工法が退化したという部分もありました。また、根拠のはっきりしない価格設定がまかりとおり、工法の合理化に関してもほとんど手がつけられていない状況になっていました。  私たちはこの問題を解決しました。 坪単価を材料費と工賃とに分解して正確なコストを割り出し、木造軸組工法の合理化・高度化を進めていくことによって、現代の住宅に求められる性能を満たした住宅をより安く提供できるようになったのです。  そして私たちは、その高性能・低価格住宅の開発ノウハウをシステム化することにしました。標準となる住宅の仕様、必要な性能を満たすための設計規定、3500項目に及ぶ材料単価・労働単価のデータベースの3つからなっています。付属のコンピュータソフトを使えば、お客さまの要望や敷地の状況に合わせた設計を行なったうえで、短時間に明快な見積書がつくれます。たいていの工務店は、見積書のやり直しを頼まれると手間がかかるので露骨に嫌な顔をするものですが、見積りに必要なあらゆる単価がデータベース化されているこのシステムならば、設計の変更やオプションの追加があっても、変更した条件を入力するだけで簡単に見積りを出し直すことができます。  もちろんこのシステムは、私たちアキュラホーム自身が活用するためにつくったものですが、1994年からは「アキュラシステム」としてパッケージ化し、販売も始めています。  たとえやる気があっても、中小の工務店が単独で高性能・低価格住宅の開発ノウハウを構築しようとするのは、きわめてむずかしいことです。技術開発には莫大な費用がかかりますし、日ごとに高まってくる住宅性能への要求を満たすためには、その技術開発を一時的なものではなく日常的なものとして行なっていなければなりません(事実、私たちも、会社の利益のほとんどを技術開発費につぎこんできたからこそ、アキュラシステムのような開発ノウハウをつくりあげることができたのです)。高い施工技術を持ちながら、技術開発を進められずに苦戦を強いられている中小工務店の人たちに役立ててもらいたいと考えたのが、「アキュラシステム」の販売を始めた直接の動機でした。  そして現在では、全国で1000社以上の工務店に導入されて、高性能・低価格住宅の家づくりのために活用されています。経営状態が悪化して廃業まで考えていた工務店の方から、システムを導入したことで、高性能・低価格商品を開発でき、お客さまからの支持 夕を得られたことで受注が倍増し経営を立て直すことができた。というような感謝の言葉を頂戴することも少なくありません。一般的には、わざわざ商売仇に塩を送るかのような、ノウハウの公開を行なう企業はほとんどありませんが、私たちがその慣例に反してノウハウを公開した背景には2つの理由があります。ひとつは、自分たちが取り組んできた高性能・低価格の家づくりの基本が全国で通用するかどうかについての最終確認をしたかったということ。そして最も大きな理由が、工務店・ビルダーに家づくりを頼むという選択肢そのものが弱くなりつつある状況を打破したかったということです。  先ほども言いましたが、地域に根ざした工務店・ビルダーには十分な存在意義があると私は信じていますし、その信念に根拠があることはこれまでの話からもわかってもらえると思います。しかし、旧態依然とした体質を持った工務店が多数あることも否定できません。そういった状況が、「アキュラシステム」を導入する工務店が増えることによって解消され、お客さまの選択肢としての工務店・ビルダー全体の底上げができれば・・・と私は考えています。おこがましい言い方になってしまうかもしれませんが、木造軸組工法のディファクトスタンダード(標準)として認められるようなシステムに育て上げたいという思いで、私たちは「アキュラシステム」の構築に取り組んできました。そして今後も新しい成果を導入して、さらにクオリティを高めていくつもりです。

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