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坪単価を分解する

2018年5月11日「金曜日」更新の日記

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 家づくりには、階段や押入れのように作業に手間のかかる部分と、居室や廊下のようにそれほど手間のかからない部分があります。それら作業量の違うすべての工程にひとつひとつ値段をつけて必要な材料費を加えれば、一棟にかかるコストが、どんぶり勘定でない明確なものとして出てきます。そのコストを面積で割ったものが、本当に正確な坪単価だと言えるわけです。そこでまず私は、家づくりの作業を細分化してそれぞれに値段をつけようと考えました。  しかし、それは想像以上にたいへんな作業でした。とにかく厳密にやろうと考えたために、細分化した大工作業の項目は当初は250にもなってしまい、しかもそれぞれの作業量を正確に想定しながら値づけを行なわなければならなかったからです。さらに、うすうす予想していたとおり、項目ごとの金額を合計すると、根拠のないはずの坪単価よりも高くなってしまいました。たとえるならば、詰めたスーツケースの中身を全部出して、もう一度詰めようと思ったら、今度はフタが閉まらなくなってしまった、という感じでしょうか。どんぶり勘定で出した坪単価は、実態よりも高い場合も安い場合もあったのです。  ですが、合理化のヒントがこの作業をしたことでつかめてきました。手間がかかっているだろうなと思っていた部分が、なぜ手間がかかっていたのかがわかってきたのです。これらの部分をひとつひとつ改善・改良して手間を削減していけば、家一棟では非常に大きなコストダウンになるだろうと思いました。  そのためには、「材工分離」で価格を設定していくことが必要でした。せっかく作業の改善・改良を行なっても、結局「材工共一式」で値段を出してしまっては、すべてがうやむやになってしまいます。必要な材料の値段を明らかにして、そこに工賃を加えたものが、本当の坪単価だからです。  そこで、作業の分解に加えて、家づくりの材料や部品の単価も出しました。徹底的に分解・分類した結果、項目数は当初一万余りにも及びましたが、ここにも合理化のヒントが隠れていました。  特定の箇所にしか使えない材料・部品を少しずつ買うよりも、汎用性の高いものに置き換えられる部分は置き換えて、その汎用性の高い材料・部品を大量に買えばコストダウンにつなげることができるのは明らかです。そこで、必要な材料・部品の絞り込みに取り組んだ結果、現在では材料・部品の数を3500項目にまで減らすことができました。  こうして、工賃と材料費とを分けて正確な坪単価を割り出そうとしたことによって、施工の合理化が現実的に見えてきたのです。

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