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風が吹き抜ける構造

2018年4月25日「水曜日」更新の日記

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 むかし徒然草の作者の兼好法師が、「家のつくりは夏をむねとすべし」と書きましたが、夏の暑さをしのぐため家の中を南北に風が吹き抜けるよう開放的に造っておくという日本の伝統は、家造りに無視してはならない考え方だと思います。  風は体温より低くさえあれば、その動きで体を冷やすことができる(湿度が低ければ、汗を蒸発させる能力が高まり、冷却力がさらに増します)ばかりか、もう一つ重要な要素として、室内で発生した汚染物を除去する能力があります。  家の内外の空気が入れ換わることを「換気」といいますが、家の中を自由に風が通り抜ける専門的には「通風」と呼ぶ現象も換気の一種です。閉め切った家でも、わずかなすき間などからの、ほとんど体には感じられないわずかな空気の出入りがあって、これでも換気には違いありませんが、両者の空気の量を比較すれば、通風換気はすき間換気の何百倍にも何千倍にも達します。  換気は、人の温熱感覚を調整する能力があり、同時に空気汚染濃度を左右する力があります。特に室内の空気をきれいにする力(浄化能力)は換気の量に比例するのです。  建築学では部屋の換気量の大小を、1時間に何回空気が入れ換わるかという数字で普通表します。閉め切った部屋の場合、最近の気密性の高い住まいでは、木造、RC(鉄筋コンクリート)造とも0.5回/時くらいで、健康に住まうための1回/時より少なくなっています。ところが1ヵ所でも窓を開ければ数回(5回前後)に増え、風が吹く方向の向かい合う壁の窓を両方とも開ければ、窓の大きさや開け方で違いはありますが、1時間に何十回から何百回にも達します。通風は換気の横綱です。  見えない空気の出入りを感じとっていただくため、少々数字にお付き合いください。  長さ10メートルのトンネルに毎秒1メートルの風が吹き抜けていると風は10秒問で通り抜けますから、換気の割合は1回/10秒、これは60秒で6回すなわち6回/分となり、さらに60倍すれば360回/時となります。つまり1メートル程度の風でも1時間に360回の換気となるわけです。  トンネルのように断面が丸くなくても、建物の場合吹き抜ける方向に全面窓が開いているなら、トンネルと同じ原理で1メートル/秒の風で360回/時です。壁の面積の10分の1の開口ならその分だけ減って36回/時となります。  外部の風速に比例して、換気回数は変わりますから、わずかな開口でも風速が大きければ換気は多くなり、逆に風速が小さければ、小さい開口では有効な通風や換気は行われなくなるわけです。

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