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「マイホーム」をどんな基準で選んでいますか?

2018年1月15日「月曜日」更新の日記

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 よくあるのは、これまで貯めた貯蓄や、無理なく返せる住宅ローンの額から「だいたいこれくらい」という予算を決め、その範囲の中でいくつかの物件を比較して選ぶというやり方です。  実家の近くとか子どもが通っている学校の学区内でとか、エリアを限定するケースも少なくありません。子育て中のファミリー世帯なら、広さや部屋数を優先したりします。  しかし、マンションにしろ一戸建てにしろ、立地、価格、築年数などひとつとして同じものはありません。  もともと不動産とは、テレビやパソコン、クルマのように、仕様や性能を一定に揃えて高い安いを比較するのが難しいものです。  ひと言で言えば、不動産はその価値がわかりにくいのです。  都心の駅前にある7000万円の新築マンション(3LDK)と、郊外の駅からバス便で3500万円の新築マンション(4LDK)があったとして、みなさんはどちらを選びますか?  「都心の駅前は魅力的だけど、7000万円なんて手が届かない。毎月のローンはいったいいくらになるんだろう?」  「郊外でバス便はちょっと不便だけど、3500万円は手ごろ。4LDKなら子どもが2人になっても住み続けられそうだし…」  といったところでしょうか。  あるいは、  「両方の中間、5000万円くらいでもう少し都心寄り、駅からは徒歩圏がいい」  という方だっているでしょう。  そういう判断基準はそれぞれ大切ですが、ぜひもうひとつ加えていただきたいのが「実質コスト」という基準です。  「実質コスト」とは、向こう10年とか20年、住んでいる間に財布から出ていくお金がどれくらいになるのかということです。  具体的にはまず、住宅ローンの利息、固定資産税、マンションなら管理費や修繕積立金などです。  しかし、実質コストでもっとも重要なのは、購入時からの値下がりがいくらになるかです。10年後とか20年後、いくらで売れるかによって実質コストは大きく変わってきます。テレビやパソコン、クルマは、10年もすれば買ったときの何分の一、何十分の一になりますが、不動産は物件によって大きな差がつくのです。  たとえば、7000万円の新築マンションが10年後にも7000万円で売れるとすれば、その間の「実質コスト」は住宅ローンの利息や固定資産税などだけですみます。   一方、3500万円の新築マンションが10年後に2000万円でしか売れないとすれば、値下がりした分の1500万円が「実質コスト」に乗ってきます。住宅ローンの金利や固定資産税などは7000万円のマンションに比べて少ないとしても、これはかなり不利です。  購入時からどれくらい値下がりするかは、購入価格そのものが高いか安いかとは関係ありません。  確かに購入価格が割高だと、将来、大きく値下がりするケースがありますが、購入価格が手ごろで誰でも買えそうな物件も、将来、大きく値下がりしやすい傾向があります。  さらに、「実質コスト」ではもうひとつ、賃料が関係してきます。  「賃料? マイホームに住んでいれば家賃はいらないはずでは?」と思われるでしょう。  確かにそうなのですが、「家賃がいらない」ということは家計にとってはプラスに作用し、差し引きして考える必要があります。  自分たちが選ぶマイホームを、もし借りて住むとしたらいくらかかるかを考え(これを「想定家賃」と言います)、「実質コスト」ではその分を差し引くのです。  以上のような「実質コスト」という基準を無視したり、気づかないままマイホームを選んでいた人が、これまでは非常に多かったと思います。  そのため、同じエリアであれば購入価格が安いもの、同じような価格なら面積が広いものや部屋数が多いものをつい選びがちでした。また、毎月のローン返済額を気にして、あまりたくさんローンを借りるのは危険と考えがちでした。  将来の「実質コスト」を無視したり、それに気づかないことは、個人的な事情や好みでマイホームを選ぶことにもつながります。  関西から東京に転勤になって多摩ニュータウンの中古マンションを買った人がいました。関西では千里ニュータウンに住んでいて、その雰囲気が好きだったからだそうです。  千里ニュータウンは確かに緑豊かですが、それと同時に大阪市内まで地下鉄で30分足らず、大病院や有名私立学校なども集まっている人気エリアです。それに比べて多摩ニュータウンはどうでしょう。  また、JR中央線沿線で築30年を超える中古マンションを買った人もいます。学生時代に住んでいたエリアなので懐かしく、価格も手ごろだったからだそうです。  しかし、築30年を超えるマンションの中には、現在の耐震基準(「新耐震」と言います)を満たさないものもあり、再び阪神大震災や東日本大震災クラスの大地震があったとき、どうなるかわかりません。  これからの時代、マイホームを選ぶにあたっては、ぜひ「実質コスト」を検討してください。それは、「将来いくらで売れるか」「(仮に)貸したら家賃はどれくらいか」を見極めることにほかなりません。  これまでのように、目先の購入価格や住宅ローンの返済額、あるいは個人的な事情や好みだけを気にしていると、価値の低いマイホームを選んでしまう危険があります。  見掛け上は手ごろな価格で、ローンの返済額も家賃並みであったとしても、価値の低いマイホームはいずれ家計の大きな負担になります。  その結果、60歳で定年を迎えるとして、その後の生活に苦労するのはあなた自身、あるいは残される奥さんなどご家族です。  大事なことは、将来売るときにあまり値下がりしないマイホームを選ぶことです。買ったときと同じくらいか、少しでも高く売れるマイホームを選ぶことができれば大成功です。  そういうマイホームであれば家計の負担は少なくて済み、将来の生活の変化や万が一のトラブルのときには、きっと強い味方になってくれます。  老後に備えて保険に入ったり、投資を始めたり、資格を取ったりする人もいますが、その前に、ぜひ人生最大の「買い物」であるマイホームを人生最高の「資産」にすることを目指しましょう。

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