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賃料値上げに関する紛争を解決する方法

2017年5月10日「水曜日」更新の日記

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賃貸借のような貸主と借主との継続的な契約関係では、お互いの信頼関係が重要ですから、当事者の話し合いにより、円満に賃料改定額が決定されることが望ましいことは勿論です。しかし、賃料値上げの話し合いがどうしてもまとまらず、当事者間では円満に賃料の値上げが決定できないこともよく見受けられます。この場合、賃料値上げをめぐる紛争を解決する方法としては、裁判所に調停又は正式裁判を申し立てることが考えられます。調停とは裁判所における当事者双方の話し合いですから、調停に応じるか否か、調停に応じても調停が成立するか否かは当事者の双方の意思にかかっています。一方、正式裁判では当事者双方が各々の意見を主張をし、証拠を提出して、最終的に裁判所が判決という形でどちらの言い分が正しいのか結論を下します。したがって、値上げが正当かどうかが判断されて必ず賃料額が決定されます。今般の改正前は、調停又は正式裁判をどちらでも、最初から申し立てることができることになっていました。しかし、正式裁判には時間がかかり、費用面でのコストも大きく、比較的少額のトラブルである賃料の値上げの紛争解決のための制度としては、それほど適切ではない面もあるといえました。そのため、賃料値上げに関するトラブルが後をたたない割には、裁判所を利用する人がそれほど多いとは言えない状態でした。改正法は、このような状況に鑑み、賃料値上げのトラブルを迅速、適切かつ公平に解決する制度として調停手続を積極的に活用することとし、更にその機能を高めることにしました。つまり、①まず、賃料に関する紛争は、正式裁判を起こす前に調停を申し立てなければならないとされました。したがって、調停の申立をすることなく正式裁判が提起された場合には、裁判所はこれを原則として調停に回すことになります(民事調停法24条の2)。これを調停前置制度といいます。手続的にも簡単で費用もかからず、当事者の意思を尊重する調停手続により、トラブルを解決することが望ましいので、できる限り調停制度により解決を図ることにし、手続的に複雑で時間と費用を要する正式裁判を最後の手段としたものです。②次に、調停手続において、当事者の話し合いがまとまらず、調停成立の見込みがない場合又は成立した内容が相当でないと認められるときには、調停申立後に当事者間で、調停委員会の定める調停条項に従う旨の書面による合意が成立すれば、申立により、調停委員会は事件の解決のために適切な調停条項を定めることができることになりました(同法24条の3)。これにより、当事者間で話し合いがまとまらなかったときにも、調停手統により、迅速で適切かつ公平な解決が図られることになりますから、調停手続での紛争解決機能が高まります。なお、これらの改正点は、改正法施行前に締結されていた既存の借地契約一借家契約にも適用されることになっています。

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