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健康的な家

2017年9月1日「金曜日」更新の日記

2017-09-01の日記のIMAGE
本当に人間にも地球にも健康的な家の根拠を明らかにする取り組みが、現在どれだけ進んでいるのか。文庫版のための新原稿書き下ろしにあたって充実させたいと思ったのは、こうした取り組みの例を調べることです。 まず注目したのは医学関係者たちの試みです。千葉大学の「ケミレスタウンプロジェク卜」(「ケミレス」「ケミレスタウン」ともにNPO法人「次世代環境健康学センター」の登録商標)の話から始めましょう。 テレビのニュース番組で私がそのプロジェクトの名を耳にし、「千葉大学、森千里教授」とメモを取っていたのは、確か3~4年前のことでした。「ケミレスタウンプロジェクト」の名を耳にする報道によれば、医学博士の森教授は、千葉大学柏の葉キャンパスの中に化学物質の極力少ない街をつくろうと計画しているらしい。それは「ケミレスタウンプロジェクト」の立ち上げを知らせるニュースだったのです。「やっぱり住むならエコ住宅」を出版し、健康に暮らせる住まいにますます関心を持つに至った私には、ケミレスタウンという言葉は実に印象深く響きました。ケミレスとはケミカルレスからつくった言葉で、化学物質を可能な限り減らしたという意味の造語とのこと。しかも、医学関係者が中心となっているという点がとても新しく、注目に値すると思ったのです。以来、森教授の名を記したメモは私のテスター元は食卓として造った大きな木のテーブルが今や仕事道具でいっぱいーの片隅にずっとあり、街がかたちになってきた際には取材に訪れたい、教授のお話を聞いてみたいと思いながら、数年が過ぎました。 願えば機会は訪れるという一種のシンクロニシティ(共時性)を私は信じているのですが、この原稿を書くための準備中のある日、奇しくも、15年も前からお世話になっている建築家の丸谷博男さんより、「ケミレスタウンに実験住宅を設計しました。見学会を開きます」という招待を受けたのです。見学会当日はふさがっていたものの、展示場を公開するレベルにまで街がかたちになったことを知った私は、さっそく千葉大学に電話をし、森教授の研究室につないでもらって、別の見学会の日に取材させてもらう約束を取りつけたのでした。千葉大学を訪れると、ケミレスタウンは柏の葉キャンパスの中の3000~4000㎡という広さの土地の中に、現在進行形でつくられようとしている様子が見てとれました。森教授は「社会を変えるにはキーワードが大事」という考えの下、まず「ケミレス」という言葉を知ってもらうべく発案したと言います。「環境ホルモン」「温暖化」なども、まず言葉が知られ、現象が認知されたからです。私も、確かにそうだなと思いました。ケミレスタウンのテーマは「未来世代のための持続可能で健康な街づくり」。家の建物だけでなく街をつくるので、「実証実験施設群」の他に、「テーマ棟」と呼ばれる学校、講議室、環境医学診療科などが入った研究施設が建てられているところです。この街では、環境-まずは住環境が原因で病気になってしまう人の発症予防と症状の緩和を目指します。

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